美しい街並みと芸術の香りに包まれたパリ。
けれど、初めての女性一人旅では、「治安」や「移動」が少し心配ですよね。
私も最初のパリ旅では、ホテルまでの道のりや、スリ情報に緊張していました。
でも、準備や情報をもっておくだけで、旅はぐっと自由で安心になります。
この記事では、私自身の体験を交えながら、女性一人でも安心してパリを楽しむためのポイントを紹介します。
空港からホテルへの移動|初日の不安を減らす方法

空港からホテルまでの移動は、最初のハードル。
とくに夜の到着や、スーツケースが大きいときは、タクシーの利用がおすすめです。
パリ市内までは定額制(右岸56ユーロ・左岸65ユーロ)と決まっているので、「ぼったくられるかも……」という心配もありません。
荷物追加料金や、深夜早朝・祝日の追加料金も発生しませんよ。
ただし、注意点があります。
各ターミナルに、青い看板で「TAXIS」と書かれたサインがはっきり表示されています。
このサインに従って進めば、乗り場にたどり着けます。
乗り場には通常、列ができており、空港のスタッフが誘導してくれているので、列に並んで、順番が来るのを待ちましょう。
空港内や出口付近で「Taxi?」と声をかけてくるドライバーがいても、無視して正規の乗り場へ向かってください。
安全に乗車できる「正規のタクシー」には、車両の屋根に「Taxi Parisien」というランプが付いています
公式乗り場からタクシーに乗れば、予約したホテル前まで安全に到着します。
帰りも、ホテルからタクシーを呼んでもらえれば安心です。
Uberなどの配車アプリも便利ですが、空港での通信環境が不安定だったり、待ち合わせ場所がわかりづらかったりすることも。
旅のスタートは、「確実・安心」な公式タクシーで、心地よくホテルに向かいましょう。
配車アプリは「もしもの時の頼れる手段」として頭の片隅に置いておくといいですよ。
送迎サービスは日本から予約できるので、安心なサービスですが、意外な盲点があります。
ある時は、行きのフライトが遅延して、指定の場所に送迎者が待機していませんでした。
電話してもフランス語だし……
最終的には、送迎車をみつけることができましたが、かなり疲れました。
またある時は、運転手が他のホテルの乗客を探しにいき、パリ市内のどこかわからない道で、30分以上ひとりで車内に放置されましたこともあります。
空港について抗議したら、逆ギレされてしまいました。
何事もないこともありますが、送迎サービスも確実ではないと思っておきましょう。
観光地のスリ・詐欺対策|人混みこそ要注意

日本の都市は、世界的にみてもとても安全ですが、パリはスリが多い都市です。
日本と同じ感覚で過ごしてしまうと、スリに狙われてしまいます。
スリ対策の基本
私も以前、友人とノートルダム大聖堂を見学していたときに、カメラがなくなったことがあります。
「いつの間に?」と後から考えても、タイミングがわからないのですが、ちょっとしたスキを狙ったのでしょう。
一人のときは緊張感がある分、被害にあったことはありません。
人といるときこそ気がゆるみやすいので、会話中も荷物から手を離さないように気をつけてください。
- メトロや観光スポットでは、バッグは体の前に抱えるように持つ
- スマホを取り出すときは周囲を確認する
- メトロや人混みでは「ここにはスリがいる」と思っておく
- カフェやレストランで椅子の背もたれや床にバッグを置くのはNG。
- テーブルにスマホを置いたまま席をたたない。
- 写真をとってあげるといわれても断る。
リナほんの少し意識するだけで、トラブルは防げます。
治安の悪いエリアに近づかない
パリには、治安がよくないエリアがあります。
次のエリアは、近寄らないようにしましょう。
- 10区(北駅・東駅周辺)
- 17区北側(郊外との境目付近)、11区・12区の一部
- 18区(モンマルトル北部、バルベスなど)
- 19区(ラ・ヴィレット公園北側やスタリングラード駅周辺)
- 20区の一部(郊外寄り)
モンマルトルは、観光地としても人気エリアですが、治安がよくないエリアがあります。
人気のない道は、通らないようにしてください。
北駅や東駅を利用する必要がある場合も、周辺をうろうろしないように。
夜遅い場合は、タクシーを利用することも検討してください。
タクシーは、タクシー乗り場から乗るか、Uberなどの配車アプリを利用しましょう。
観光地でも安全とは限らない
パリは、観光客を狙った詐欺がよくみられます。
モンマルトルの丘やエッフェル塔など、観光客でにぎわう場所には、次のような詐欺が知られています。
- ミサンガ(ブレスレット)売り
- 「難民支援アンケート」などを装った署名詐欺
- カップの中のコインを当てるゲーム詐欺
たくさん人がいる場所でも、子連れでも、女性グループでも安心はできません。
詐欺グループは、観光客が足を止めた瞬間を狙ってきます。
怪しいと感じたら、笑顔は不要、きっぱりと断ってその場を離れましょう。
ミサンガ売りには、実は私も遭遇したことがあります。
その日は曇りで、午前中は、人もまばらでした。
そんなとき、見知らなぬ集団に囲まれて、手首に紐のブレスレットを巻かれてしまったのです。
「お金ないっていったでしょ!」と日本語で怒鳴ったら「モッテナーイ!」とふざけたようにいって、最終的には紐をハサミで切って退散しました。
私は金銭を支払わずに済みましたが、多くの人が被害にあっているので、決して油断しないように。
呼び止められても、「ノン、メルシー」でスッと離れましょう。
あっという間に囲まれてしまうので、危険を感じたらすぐに逃げてくださいね。
メトロ利用時の注意点|バスとの使い分け


メトロはパリ観光の強い味方ですが、同時にスリが最も多発する場所でもあります。
メトロ利用時のスリ対策
メトロでは、観光客が集中したり、乗り換えでごちゃごちゃしたりするタイミングを狙ったプロの手口が多いです。
メトロの車内アナウンスは、基本フランス語ですが、私が乗った車両では、日本語でスリについての注意喚起が流れていました。



日本の被害者が多い、ということですよね。
メトロでは、次のことに十分注意しましょう。
バッグは「身体の前」で「しっかり閉める」
これは基本中の基本です。
混雑時は、バッグのファスナー部分を握っておくと、開けようとする動きにすぐに気づけます。
ドア付近には立たない・座らない
ドアが閉まる直前に、持っているスマホやバッグをひったくり、そのまま外に降りて逃げるという手口が多発しています。車内に入ったら、できるだけ車両の奥や真ん中の席に座るか、立つようにしましょう。
スマホ・財布は「見せない」「出さない」
スマホはサッと見てすぐにしまいましょう。電車待ちの間も、スマホを使用する場合は、壁や柱を背にするなど、死角を作らないようにしましょう。
券売機や改札付近で「親切な人」に注意
切符の買い方や機械の操作に戸惑っていると、「手伝いましょうか?」と近づいてくる人には要注意です。中には、財布からお金を抜いたり、カード情報を盗み見たりする偽スタッフがいます。
夜遅い時間や治安の悪い路線は避ける
深夜帯は乗客が減り、酔っ払いや物乞いが増えて雰囲気が変わります。どうしても夜遅くなってしまう場合は、タクシーを利用しましょう。
バスの安心感
私は、パリのバスが好きです。
美しい街の景色を眺めながら移動できるのが、バスの大きな魅力です。
また、車内も明るく運転手との距離も近いことや、メトロほどスリの被害がない点も安心です。
ただ、時間が正確でない点や、ルートを間違えてしまうと、不安になります。
最初は短い距離で試してみるといいでしょう。
はじめてパリでバスを利用したとき、降りるられずに焦りました。
停車用のボタンを何度も押したのですが、なぜか反応せず。
それを見ていたクールなお姉さんが、運転手さんに「あの子降りたいみたいよ」といってくれたようで、その後すぐにバスは止まり、無事降りることができました。
心配なときは、運転手さんのそばの席をとると安心です。
また、困ったときは、何とかして伝えようとすることが大切ですよ。



それ以来、日本にくる観光客にもやさしくしようと心がけています。
ルートを昼間に確認
パリの街は夜も街灯が多くて明るい場所が多いですが、夜のひとり歩きは油断禁物です。
ホテルは、夜でも人通りがあるエリアや、駅の近くを選ぶのが安心です。
夜に出かける予定がある場合は、昼間のうちに一度、帰り道を歩いて確認しておきましょう。
暗くなると街の雰囲気が変わり、思った以上に道が分かりにくく感じることもあるからです。


パリで声をかけられたら?


日本では、街で男性に声をかけられることがない人でも、パリではそうとは限りません。
親切心とは限らない
日本人女性は、大人しくてNOもいえない、というイメージがあるようで、声をかけられやすいともききます。
また、若者だけでなく、オジサンも声をかけてくるので、親切心と勘違いしてしまう場合あるようです。
相手がどんなに穏やかそうな相手でも、個人的な誘いには応じないようにしましょう。



旅の土産話にしよう、などと無茶なことはしないでくださいね!
ある年のクリスマスイブ、ルーヴル美術館で、立て続けに3人の男性に声をかけられたことがありました。
安全な場所だったので怖いとは感じませんでしたが、驚きました。
いずれも外国人だったので、クリスマスを家族と過ごせず寂しかったのでしょう。
しかし、感傷的になっている場合ではないので、予定があるといって断りました。
ちなみに、12月25日、パリのお店や施設はどこもクローズしてしまうので要注意です。
にこやかにかわす勇気を
パリでは、男性女性にかかわらず、通りすがりでも目が合うと、微笑む習慣があります。
しかし、しつこく話しかけられて、迷惑だと感じる場合は、無理に会話を続ける必要はありません。
マゴマゴしたり相手の言うことを正確に理解しようとしたりせず、笑顔で「ノン、メルシー」と伝えましょう。
にこやかに距離を取るのが、トラブルを避けるいちばんの方法です。
パリで道に迷ったときの対処法


パリで、もし道に迷ってしまっても、焦らないように。
歩きながらスマホを見ていると、周囲への注意が散漫になり、スリの格好の標的になってしまいます。
近くのカフェやホテルに入って、落ち着いて地図アプリで位置を確認しましょう。
温かい飲み物でホッと一息つく時間も、旅の良い思い出になりますよ。
私は方向音痴なので、同じエリアをぐるぐる回ってしまうことがあります。



そんな時に頼りになるのが、通り名。
パリの道には、すべて名前がついているので、大きな目印になります。
似たような雰囲気の道の場合は、通り名を確認しながら歩くといいですよ。
「それでも分からない!」というときは、思い切って現地の人に尋ねてみましょう。
言葉が通じなくても、笑顔で「シル・ヴ・プレ 」と声をかけてみてください。
パリの人はクールだといわれがちですが、私はこれまでに何度も助けてもらいました。
ちょっとしたことでも、現地の人とコミュニケーションがとれると、その街の印象がぐっとかわりますよ。



それが旅のおもしろさですね
持っておくと安心!旅の安全お守りリスト


旅の途中で何が起きても慌てないように、ちょっとした「お守り」を準備しておきましょう。
- 日本大使館やクレジットカード会社の緊急連絡先、ホテルの住所はスマホとは別にメモしておく。
- パスポートのコピーを、本体とは別のバッグに入れて保管する。
- 万が一に備えて、クレジットカード2枚を違うバッグなどに分けて持つ。
- スマホの充電をこまめに確認、またはモバイルバッテリーを携帯する。
- 旅先での情報収集は必須。eSIMを設定していれば安心です。
こうした小さな準備で、旅の安心感はぐっと変わります。
クレジットカードの2枚持ちは、紛失リスクだけではなく、海外でセキュリティロックがかかってしまう可能性があるからです。
できれば、日本を発つ前に、クレジットカード会社に連絡し、海外でのセキュリティロック解除の手続きを依頼しておきましょう。
安心できる旅は自分でつくるもの|まとめ
パリは、美しい街並みと芸術、カフェ文化など魅力にあふれた街。
しかし、観光都市ならではのトラブルがあることも事実です。
特に、女性一人旅の場合は、いくつかの注意をする必要があります。
- 空港からの移動は公式ルートを使う
- 観光地やメトロではスリに注意
- 知らない人に声をかけられたら、笑顔で距離を保つ
- 道に迷ったら落ち着いて確認、わからないときは人に尋ねる
- 旅の準備をきちんとする
これらのことを意識するだけで、旅の安心感がぐっと増します。
女性の一人旅では、「声をかける勇気」と「断る勇気」、その両方が必要なこともあります。
トラブルもあれど、旅はやっぱり素晴らしい。
気をつけるところはしっかり押さえつつ、あなたのパリ時間を楽しんでくださいね。
旅から帰った後、もっとパリが好きになっていますように。
素敵なパリの旅となること、お祈りします。
Bon voyage!






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